2010年 06月 27日
野菜は踊る<ゴーヤ編> |
衣装のように葉をまとい、「君の真夏」に向かってどんどん伸びろ。
ホフェッシュ・シェクター『ポリティカル・マザー』埼玉芸術劇場を観てきた。エルサレム出身。イギリスのダンスシーン新進気鋭の振付家。
サスの照明とともに、バックで5人のエレキギターと4人のスネアが激しいヘビメタの演奏を繰り広げる。ボーカルではなく独裁者の演説。兵士の自殺シーンから群舞へと続く。何かを求めて差し出された手は中途半端な位置にあり(もちろん計算された上で)生活の中に普通に存在する戦争、捕虜、銃殺、そしてまた夫婦には、あるときは許しを乞い、それでも貧窮に耐えながら生活を守る姿勢が滑稽なまでに表現されていて、それをフォークダンスの一種か何かのように扱ってしまうシニカルな振り付け。台詞も無しに十分に伝わる悲しみと苛立ちは、「聴かせるため」というより「観せるための音楽」によって支えられている。秀逸。
by mkayo4
| 2010-06-27 19:52